多発性硬化症の新薬「ケシンプタ」が保険適用 有効率が高く、月1回の外来投与で済む利点も (夕刊フジ 2021/10/22)

多発性硬化症の新薬「ケシンプタ」が保険適用 有効率が高く、月1回の外来投与で済む利点も (夕刊フジ 2021/10/22)

【記事概要】

  • 今年5月、多発性硬化症(MS)の治療薬として「(商品名)ケシンプタ」注射薬が保険適用になった。
  • 「MSの治療は、急性期には『ステロイドパルス療法』や『血漿浄化療法』を行い、寛解期には、再発を防ぎ進行を抑制する『疾患修飾薬』を使用する。
  • 体を異物の侵入から守るリンパ球には、T細胞、B細胞、NK細胞などがあるが、MSでは、T細胞が活性化して中枢神経が攻撃される。
  • MSにおいてB細胞を除去すると、T細胞の活性化が抑えられることが分かっており、ケシンプタは、国内初のB細胞を標的とした「抗体医薬」になる。
  • 従来の疾患修飾薬は、有効率3~4割という課題があったが、ケシンプタは有効率が7割くらいと高く、再発予防治療の第一選択薬になりうる。
  • 従来の自己注射薬では毎日もしくは1日おきに注射する必要があったので、月1回の外来投与で済むのも大きな利点。患者のQOL向上も期待される。

多発性硬化症(MS)
 本来、細菌やウイルスなどの外敵から守るはずの免疫システムが、間違って自分の脳や脊髄、視神経などの中枢神経を攻撃することで発症すると考えられている。症状は、病変の部位によって歩行障害、感覚障害、視覚障害、認知機能障害など、多岐にわたり、国の指定難病に指定されている。